『彼女を笑う人がいても』【栗山民也】と気鋭【瀬戸山美咲】の強力タッグが実現!【瀬戸康史】ら多彩なキャストが現代と安保闘争の時代を舞台に正義と真実を問う

現代日本演劇界を代表する演出家の一人である栗山民也と、近年凄まじい活躍ぶ
りの次代を担う劇作家・瀬戸山美咲が強力タッグを組み、新作を届けられる。

出演には魅力的なキャストが顔を揃え、2021年は映画『ルパンの娘』、
WOWOWオリジナルドラマ「男コピーライター、育休をとる。」(主演)、初の
ミュージカル「日本の歴史」など、映像・舞台に目覚ましい躍進を続ける瀬戸康
史を主人公に、ミュージカルを中心に活躍し今回がストレートプレイ初出演とな
る木下晴香、近年活躍をみせ今回初舞台となる期待の俳優 渡邊圭祐、舞台・
TV・映画と幅広く活躍する演技派の近藤公園を起用。

更には、話題の舞台作品に次々と出演している阿岐之将一、舞台・テレビドラマ
のほか声優としても目覚ましい活躍を遂げる魏涼子、舞台だけでなく映像作品で
も幅広く活躍中の吉見一豊、長年舞台で活躍し続け栗山作品に欠かせない大鷹明
良が脇を固める。
出演者全員が現代と過去それぞれの時代に生きる人々を演じ分けるのも見どころ

概要
【作】瀬戸山美咲 【演出】栗山民也
【出演】瀬戸康史 木下晴香 渡邊圭祐 近藤公園
阿岐之将一 魏涼子/吉見一豊 大鷹明良

2021年12月 4日(土)~12月18日(土) 世田谷パブリックシアター
2021年12月22日(水) 福岡市民会館・大ホール
2021年12月25日(土)~12月26日(日) 刈谷市総合文化センター 大ホール
2021年12月29日(水)~12月30日(木) 兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール

栗山民也×瀬戸山美咲
栗山民也は2000年から7年間、新国立劇場演劇部門の芸術監督を務め、
2013年に紫綬褒章受章、2018年読売演劇賞・大賞を受賞するなど、現代日
本演劇界を代表する演出家。これまで世田谷パブリックシアターでは『シャンハイムーン』『CHIMERICA チャイメリカ』『殺意 ストリップショウ』などの作品を届けてきた。
瀬戸山美咲は世田谷パブリックシアター主催の若い才能の発掘と育成のための
事業「シアタートラム ネクスト・ジェネレーション」で2011年に選出されて以降注目を集め、様々な公共劇場での主催公演を手掛けるなど、近年目覚ましい活躍を見せている。世田谷パブリックシアターでは昨年、長田育恵とともに劇作、そして演出を手掛けた現代能楽集Ⅹ『幸福論』にて、第28回読売演劇大賞選考委
員特別賞・優秀演出家賞を受賞し、ますます注目を集める気鋭の劇作家・演出
家。

作品テーマについて
世田谷パブリックシアターとゆかりの深い2名のアーティストが初めてタッグを組み届けられる本作は、「安保闘争」という現代日本社会を語る上で外すことのできない歴史的事件が題材になっている。
現代と1960年安保闘争の二つの時代を舞台に、報道の真実やマスコミニュケー
ションの正義を追い求め奔走する二人の新聞記者の青年の姿を通し、日本社会
の光と闇を見つめ、現代を生きる私たちの心にかすかな光を灯す作品。

<あらすじ>
雨音。
1960年6月16日。黒い傘をさした人々が静かに集まってくる。人々はゆっくり国
会議事堂に向かって歩き出す。
2021年、新聞記者の伊知哉は自分の仕事に行き詰まっていた。入社以来、東
日本大震災の被災者の取材を続けてきたが、配置転換が決まって取材が継続
できなくなってしまったのだ。そんなとき、伊知哉は亡くなった祖父・吾郎もかつて新聞記者であったことを知る。彼が新聞記者を辞めたのは1960年、安保闘争の年だった。
1960年、吾郎は安保闘争に参加する学生たちを取材していた。闘争が激化す
る中、ある女子学生が命を落とす。学生たちとともに彼女の死の真相を追う吾郎。
一方で、吾郎のつとめる新聞社の上層部では、闘争の鎮静化に向けた「共同宣
言」が準備されつつあった。
吾郎の道筋を辿る伊知哉。報道とは何か。本当の“声なき声”とは何か。やがて
60年以上の時を経て、ふたりの姿は重なっていく。

栗山民也 コメント
「あのとき」へ
世田谷パブリックシアターから新しい企画の話があった。いくつかの候補の中から、瀬戸山さんとの新作を、と答えた。早速お会いした。自由で熱い作者としての思いをたくさん聞けて、とても楽しい時間になった。
60年の「あのとき」とは、一体何だったのか。主題は「六十年安保」。
人それぞれ違った歴史があるように、その時代への密かな思いはそれぞれに違う。
学生の時、当時書かれたものを漁るように読んだ。そして、その時の運動や言葉の断片を勝手に時代の光景として心に刻んだ。体のどこかに刺さった深い棘のように、一つのどうしようもない痛みになって残った。その痛みが何かの時に、ズキンと今に疼く。この支離滅裂で、痛ましいほどの政治の空白を前に、じっと「あのとき」のあの人たちの気持ちと行動を見つめたい。

瀬戸山美咲 コメント
その言葉を笑わない
60年の安保闘争のことがずっと気になっていました。デモのさなか、一人の女子学生が命を落とした。それが一体どういうことなのか想像できなかったからです。2000年代初頭、あることに抗議するために初めてデモに参加しました。でも、数回行ってやめてしまいました。自分の言葉が本当に届いているのかわからなくなってしまったのだと思います。90年代後半から日本社会全体に冷笑的な雰囲気が広がってきていました。その空気の中、何かに抗議するということにどこか居心地の悪さも感じていました。その後もたびたびデモや抗議行動に参加してきましたが、続けることの難しさを痛感するばかりでした。
60年安保闘争のあの若者たちの熱はどこから来て、そしてどこに消えてしまったのか。それを知ることは、自分や社会全体の「あきらめ」の根源を知ることにもならないか。
そう思ってこの主題を選びました。そして、あらためて政治と民衆とメディアの間で行き交う「言葉」について考えたいと思いました。人と人はわかりあえないものだけれど、かつてはもう少し、言葉の意味自体は共有されていたように思います。でも、今は言葉が意味を失ってしまった。そこに思想はなく、ごまかしたり、だましたりするために言葉が使われています。そして、わかりあえない他者の言葉を冷ややかに笑うことしかできなくなってしまいました。でも、だからといって、これからもずっとそうだとは思いたくありません。61年前に命を落とした彼女の言葉は今の私に届きました。共感できることもできないこともあるけれど、彼女の言葉には命が宿っています。その言葉を私は笑いたくない。言葉の持つ可能性はまだある。そう信じて、この作品を届けたいと思います。

瀬戸康史 コメント
初めて栗山民也さんと瀬戸山美咲さんとご一緒させていただきます。栗山さんの作品は何作も見ていて、ぜひご一緒したいと思っていたので、本当に嬉しいです。瀬戸山さんはとても勢いのある劇作家さんだと思っていたので、今から稽古が楽しみです。安保闘争という難しいテーマではありますが、この作品には人間にとって、今の時代にとって、大事なメッセージが込められているのではないかなと、感じています。
安保闘争の時代を生きた人物の心情を体全体で演じることができればいいなと思
います。


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